病院では教えてくれない腰痛の原因と治療｜ブログ
腰痛って、厄介ですよね。
今回は腰痛について、考えていきたいと思います。
◆腰痛の原因とされる以下のうち、どれが正しいでしょうか？
１）老化
２）ヘルニア
３）腰椎分離
４）天気
５）運動不足
６）体の歪み
実は、どれも完全に正しいとは言えません。
１）よく「年のせい」とおっしゃる方がいますが、若い層でも腰痛は起きており、年齢分布で見れば、腰痛が年齢によって増えてはいないのです。
２）腰椎椎間板ヘルニアは、腰痛の原因として知られてはいますが、大きなヘルニアがあっても腰痛のない人も実際には少なくありません。ここ数年、テレビでもヘルニアが原因でないことが取り上げられています。
３）レントゲンなど画像での診断は、あまり当てにならないというのが昨今の見解です。私自身、20代前半で腰痛となり、レントゲンで「腰痛分離症」と診断されたのにも関わらず、もう長いこと腰痛は起きていません。
４）天気を気にされる方もいらっしゃいます。これに関しては、個人差が大きく、大多数の人にとっての定説となりにくいのが現状です。
５）運動不足も腰痛の直接的な原因になりませんし、運動しないと腰痛が治らないわけでもありません。ただし、運動そのものは、血行を改善したり、筋力を向上させたり、プラスになる要素があります。
６）ゆがみを気にされる方は少なくありません。これも、ゆがみがあっても腰痛がない人は少なからずいらっしゃいますから、因果関係を認めにくいのです。
このように、腰痛の原因ははっきりしません。約90％が原因不明と言われています。
病院に行くと病名をつけられますが、これは病名をつけないと健康保険での治療を行うことができないという事情もあるのです。病名をつけて、薬を処方したり、検査をしないと病院は診療費をもらえない仕組みがあるからです。
◆それでは、腰痛の原因とは何でしょう？
最近では、腰痛は脳によって作られているという説が多く聞かれるようになりました。実際に治療をしている私としましても、納得できる考え方です。
原因は主にストレスです。過度なストレスにより脳の「側坐核」が正常に働かくなり、結果として本来あるべき鎮痛メカニズムが働かなくなるのです。人間は、元々痛みに対応する力を持っています。ストレスが慢性化することにより、出せるはずの鎮痛物質（内因性オピオイド）が出なくなり、慢性的な痛みに悩む日々が生まれるのです。
◆鍼治療が腰痛によい理由は？
ストレスによって働きが悪くなった側坐核を元気にするのが、鍼治療です。鍼刺激により、側坐核が活性化するというデータが、実験により得られています。また、自律神経を調整することにより、内分泌（ホルモン）や免疫系にも変化が現れます。
鍼の持つ鎮痛メカニズムは、これだけではありません。ここでは省略しますが、いくつものメカニズムを持つことにより、痛みの緩和や除去に優れた手段であると言えます。
数千年来の歴史を持つ鍼治療。薬には頼らずに、ご自身の「自分で治る力」＝自己治癒力を高めることが、その大きな魅力であると考えています。
◆鍼灸による腰痛治療の実際とは？
当院では、問診と理学検査により、痛みの発生源を洗い出します。ご本人が感じている場所が痛みの発生源でないことが少なくないからです。そして、その場所に適切な治療を行います。
同時に、東洋医学の見方から、全身の調整を行います。脈や舌を診て、気の流れを診て、バランスを整える作業を行います。痛みの出ているところだけに施術するよりも、効果が高まると感じているからです。
◆腰痛について気をつけるべきことは？
腰痛は、上に書きましたように90％が原因不明とされます。一方で、10％は他に病気が隠れていることがありますので、医療機関を受診して、糖尿病などによる化膿性脊椎炎、悪性腫瘍、解離性腹部大動脈瘤、各種内蔵疾患などがないことを確認することも大切です。
◆腰痛でお困りの方へ
腰痛があると、日常生活で困難なことが多く、ご苦労されているかと察します。慢性腰痛の方の80％にうつが見られるとも言われ、単なる痛みではなく、心の問題が関係していることも少なくありません。
当院では、これまでにも多数の腰痛の方が通院されています。
ご不安なことも多いでしょうから、ますはお気軽にご相談いただければと存じます。
参考：菊地臣一(2011年)『腰痛のナゼとナゾ』メディカルトリビューン 144p
